【イベントレポート】 歴史とモダンが融合する「Mitto」オープニングイベント
「Mitto」オープニングイベント 〜シドニー・ザ・ロックスで五感を刺激する和食の新たな挑戦〜 2026年2月3日、シドニーの歴史地区ザ・ロックス(The Rocks)にて、新たな日本食の聖地となる「Mitto」のオープニングイベントが開催されました。 私たち Washoku Oceania Network も、この素晴らしい門出に立ち会ってまいりました。 1. 華やかな幕開け:鏡割りと伝統の継承 イベントは、夕暮れ時の心地よい空気の中でスタート。会場外のテラス席ではDJが奏でるモダンな音楽が流れ、着物姿のゲストも多く見受けられる華やかな雰囲気です。 まずは日本文化の象徴である「鏡割り」の儀式が行われました。海外のゲストも興味深く見守るなか、力強く木蓋が割られると、中にはなみなみと注がれた贅沢な日本酒。升(ます)の香りと共に、会場は一体感に包まれました。 2. 歴史を紡ぐ空間:刑務所から美食の場へ 会場となった建物は、1880年代に建てられた元警察署と刑務所(留置場)。その前は病院としても使われていたという、非常にユニークな歴史を刻んでいます。 ・シドニー初の総合病院 :1788年~1816年 ・警察署と刑務所(留置場):1882年~1974年 建築家でもあるオーナーのこだわりにより、かつての「独房」が現在は風情ある個室へと生まれ変わっています。分厚い壁と、手の届かない高い場所に設けられた小さな窓。そこから差し込む一筋の光を眺めていると、かつての受刑者が外の世界へ思いを馳せた時代にタイムスリップしたような、不思議な感覚に陥ります。 店内を見上げれば、天井には至る所に芸術的な装飾が施されています。日本文化を象徴する「絵馬」の仕掛けや、随所に散りばめられたアート作品など、空間そのものに圧倒的な価値が宿っています。 3. 五感を刺激する体験:雅楽の調べとビールの深み プログラムは、ゲストを飽きさせない贅沢な工夫が凝らされていました。 サントリー・プレミアムモルツ テイスティング 生ビールや黒ビールなど3種類の飲み比べが行われ、繊細な日本のビール文化を再発見するひとときとなりました。 雅楽の生演奏 各テーブルを演奏者が回り、厳かな調べが響き渡ります。シドニーの歴史建築の中で聴く雅楽は、まさにここでしか味わえない「唯一無二」の体験です。 願いを込める「Wish Board」 参加者全員が絵馬に願いを書き込み、イベントの成功を共に祝いました。 4. 職人魂が宿る料理と器 振る舞われた料理は、どれも繊細で、素材の味を最大限に引き出した「日本」を感じさせるものばかり。 特筆すべきは、その器へのこだわりです。日本から取り寄せた逸品はもちろん、「日本のデザインで、オーストラリアの土を使って焼いた器」など、両国の文化を融合させた器が使われていました。 カクテルやモクテルも充実しており、あらゆるゲストが楽しめる配慮がなされていました。最後にはオーナー自らがテーブルを回り、気さくに挨拶を交わす姿が印象的で、この店への深い愛情と日本への敬意が真っ直ぐに伝わってきました。 5. 私たちの想い:世界と協力して伝える「和食」 今回のイベントで最も感動したのは、日本人、アジア人、そしてオーストラリアの人々が垣根を越えて力を合わせ、日本の素晴らしい文化を伝えようとする姿でした。 振り返れば、天ぷらや肉じゃがのように、多くの和食は海外から伝わったものを日本流にアレンジして育まれてきました。だからこそ、私たちは世界中で協力し合う必要があるのだと改めて確信しました。 私たち Washoku Oceania Network は、今後も「和食」というキーワードを通じ、国外にいるからこそできる視点で、世界中の人々と手を取り合いながら日本の素晴らしさを発信してまいります。 【イベント概要】 日時:2026年2月3日 場所:Mitto(127 George Street, The Rocks) パートナー:Dassai Sake […]
【Event Report】 A Fusion of Heritage and Modernity: The Grand Opening of “Mitto” in The Rocks
Sydney’s Newest Culinary Landmark Challenges the Senses On February 3, 2026, the historic district of The Rocks in Sydney witnessed the birth of a new sanctuary for Japanese cuisine: Mitto. The Washoku Oceania Network (WON) was honored to attend this magnificent opening celebration. 1. A Radiant Beginning: Kagami-biraki and Tradition The event commenced in the […]
第20回 食べて見て座談会 活動報告
第20回「食べて見て座談会」 2026年2月2日(月曜日)、記念すべき第20回目となる「食べて見て座談会」が開催されました。 本イベントは、2020年10月の第1回開催以来、日本食・和食を軸に「食べる・見る・考える」体験を共有する場として継続されてきました。 第19回からは NPO法人 オセアニア日本食レストラン協会(WASHOKU OCEANIA NETWORK/通称 WON) が主催を引き継ぎ、今回が NPO主催として第2回目 の開催となります。 当日は天候にも恵まれ、開始前から参加者が集まり、和やかながらもどこか“学びの場”としての緊張感を感じさせる雰囲気の中でスタートしました。 座談会スタート|場づくりから始まる学び (14:00) 定刻通り座談会がスタート。 司会進行は、前回講師も務めた WON代表・Takumi Kawano 氏。 イベントの趣旨と当日の流れが説明され、続いて参加者それぞれの自己紹介が行われました。 料理人、飲食関係者、食文化に関心を持つ参加者など、多様なバックグラウンドが集まることで、最初から活発な空気が生まれます。 表彰とともに始まる「まな板びらき」 座談会の冒頭では、まずひとつの表彰が行われました。 昨年、Takumi Kawano 氏が 日本調理技能士連合会より「日本料理 第五勲位 匠生」 四條司家より「包匠師範」 という二つの称号を授与されたことが紹介され、出倉氏より、会場で正式に表彰されました。 これらの称号は、単に技術力を評価するものではなく、 日本料理が受け継いできた精神性や所作、命への向き合い方を体現してきた者に与えられるものです。 今回の座談会は、その歩みを共有する場でもありました。 まな板びらき|「場」を整える 表彰に続き、イベントの幕開けとして 「まな板びらき」 が執り行われました。 進行役は Yuri Tazunoki 氏 が務めました。 日本の伝統儀礼である 包丁式(ほうちょうしき) は、平安時代から千年以上にわたって受け継がれてきました。 その中で、まな板は単なる調理道具ではなく、命と向き合うための神聖な場所とされています。 「まな板びらき」とは、新しく清らかなまな板を正式に使い始めるための儀式。 包丁を入れる前に、まず空間を清め、心を整え、食材の命に感謝と敬意を捧げる。 日本料理が大切にしてきた精神性が、この静かな所作の中に込められています。 まな板清め|道具への感謝と食の安全を祈る 続いて行われたのが まな板清め。 これは単に道具を洗う行為ではありません。 […]
The 20th Chefs Chat: Activity Report
Event Date: Monday, February 2, 2026 We are pleased to share the report for our milestone 20th Chefs Chat (Tabete Mite Zadankai). Since its inception in October 2020, this event has served as a unique platform for sharing experiences centered around the concept of “Eating, Seeing, and Thinking” about Japanese cuisine (Washoku). Since the 19th […]
Washoku Oceania Network (WON) Officially Launches in 2026
Establishment Announcement and Upcoming Activities New Year’s Greetings Happy New Year!! Thank you for your continued support of the Washoku Oceania Network (WON). Founded in 2025, WON is a non-profit organisation that will begin its full-scale activities from 2026. In this blog, we would like to share the background behind our establishment, our journey so […]
2026年、Washoku Oceania Network(WON)が本格スタートします。
設立報告と、これからの活動について 新年のご挨拶 新年あけましておめでとうございます。 Washoku Oceania Network(WON)の活動を日頃より応援いただき、ありがとうございます。 2025年に設立されたNPO法人WONは、2026年から本格的に活動をスタートします。 このブログでは、設立の背景、これまでの歩み、そして2月以降に予定している具体的な活動についてお伝えします。 2025年の歩み — 小さな一歩から 設立後は組織の体制づくりを進めながら、2025年9月に 「食べて見て座談会」 を1回開催しました。 料理人や飲食関係者が一堂に会し、和食文化について対話 現場での工夫やアイデアを共有する場として実施 まだ開催回数は少ないですが、顔が見える場を大切にする姿勢を最初から貫いています。 WONを運営するメンバーについて WONは現在、4(+1)名のメンバーで運営されています。 それぞれ異なるバックグラウンドを持ちつつ、「和食・日本食文化を、オセアニアの現場で育てていきたい」という共通の想いで集まっています。 Takumi Kawano — President 日本料理人として国内・海外で研鑽を積み、栄養学と自然療法の視点を活かし料理に組み込む。料理や食材を分子レベルまで落とし込み、味覚などの五感、体への影響などを研究。SNSやブログを通して食のすばらしさを発信している。 Yuri Tazunoki — Vice President イベント運営と国際交流のプロ。栄養学の知識を活かし、座談会やコミュニティづくりで和食文化の魅力を伝えている。 Takashi Ohuchi — Committee 伝統的和食と海外修行の経験を融合したシェフ。現地レストラン経営の経験を活かし、和食の可能性を広げる。オーストラリアにおけるビーガンやオーガニック分野の第一人者。 Ryota Kumasaka — Committee オーストラリアで複数のレストランを運営するオーナー兼料理人。現地での実績をもとに、和食の新しいスタイルや文化発信を進めている。 Hideo […]
The 19th “Tabete-Mite-Zadankai (Chefs chat)”
The 19th “Tabete-Mite-Zadankai (Chefs chat)” On Monday, September 1, 2025, the 19th Tabe-te Mite Zadankai was held. Since its first event in October 2020, the roundtable has been organised by Washoku Lovers through its 18th session. From this 19th session onward, the newly established nonprofit organisation Washoku Oceania Network (WON) has taken over as host. With […]
第19回 食べて見て座談会 活動報告
第19回「食べて見て座談会」 2025年9月1日(月)、第19回となる「食べて見て座談会」が開催されました。 このイベントは2020年10月に第1回が行われて以来、Washoku Lovers 主催で第18回まで続けられてきましたが、今回からは新たに発足した NPO法人 オセアニア日本食レストラン協会(WASHOKU OCEANIA NETWORK/通称 WON) が主催を引き継ぎます。 オーストラリア日本食親善大使・出倉秀男氏の協力を得て、NPOとして初めての開催となった本座談会。当日は天候にも恵まれ、午後3時の開始前から多くの参加者が集まり、和やかな雰囲気の中でスタートしました。 司会は、第1回から務めている元 Washoku Lovers 代表で、現在 WON 副代表の Yuri Tazunoki 氏。新設 NPO の紹介を交えながら、円滑に進行します。 参加者は、飲食業界の第一線で活躍する料理人や関係者が中心。自己紹介の後、出倉秀男氏、NPO役員の Ohuchi Takashi 氏、Ryota Kumasaka 氏、Yuri Tazunoki 氏、そして WON 代表で今回の講師を務めた Takumi Kawano 氏 が挨拶を行い、本格的に座談会が始まりました。 講師・Takumi Kawano 氏の登壇 Kawano 氏の登壇は、第1回・第14回に続き今回で3度目。過去には以下のテーマで講演を行っています。 第1回(2020年):料亭「吉兆」で培った経験をもとに、鯛茶漬けを題材とした調理紹介と料理哲学 第14回(2024年):日本料理の歴史と健康食をテーマに、一汁三菜や精進料理を現代風にアレンジした事例紹介 そして今回(第19回/NPOとしては第1回)のテーマは―― 「視覚で楽しむ『和』の世界と味覚変化の体験」 「アートと味覚を通じて和の季節感を感じる」 というユニークな試みが行われました。 第1部:食材で描く、季節の風景 最初のセッションでは、「和の器を使わず白い器だけでどこまで和の世界を表現できるか」 という挑戦が披露されました。 海外では和の器は高価で手に入りにくいため、織部焼や備前焼などの器、唐草や山水、竜田川といった文様を使わずに“和の世界”を表現する方法を紹介。 抹茶、ビートルート、ブラックベリーなどの自然素材を“絵の具”に見立て、桜や竹の景色を器に描くように盛り付けた料理は、まるで絵画のよう。参加者も実際に体験し、食材を使った表現の奥深さを共有されました。 […]